環境保全への取り組み TCFD提言への対応

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示

2015年12月、COP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)にて採択された「パリ協定」での合意事項につき、金融市場における意思決定に役立つ気候関連情報に対しての需要が高まりました。

TCFDとは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称で、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、2015年12月の金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および気候変動への金融機関の対応を検討するために設立されました。TCFDは、気候変動要因に関する適切な投資判断を促すための一貫性、比較可能性、信頼性、明確性を持つ、効率的な情報開示を促す提言を策定することを目指して議論を重ね、2017年6月に提言を公表しました。

当社は、2022年3月に公表している「第8次中期経営計画」にも掲げておりますように、気候変動リスクへの対応を含めた社会のサステナビリティの実現に向けたSDGsへの取り組みを推進しております。今回、TCFD提言への賛同を表明するとともに、以下の通り同提言に基づく情報開示をいたします。

  1. ガバナンス
  2. 当社では、気候関連リスクを業務執行上の重要な経営課題と認識し、代表取締役社長を議長とするCSR推進会議にて気候関連リスクに対応すべき事項につき、検討・協議を行い、定期的および必要に応じて取締役会へ報告しております。

    CSR推進会議は、当社グループのCSR推進体制を維持管理するため、取締役会の直轄組織として設置されているものであり、CSR基本方針(※1)の策定、同方針に基づく各種委員会の統括、その他CSRに関する課題の取組みを実施しています。同会議の事務局は、経営企画部内のサステナビリティ推進課に設置しています。

    サステナビリティ推進課は、2023年4月に従来のCSR推進課より名称変更された組織であり、気候関連リスクをはじめとする各種サステナビリティを巡る課題への対応(リスク、機会)を主体的に行うとともに、CSR推進会議の事務局及び日常的なCSR推進活動の管理を行っています。

    【取締役会による監督体制】

    CSR推進会議は、取締役会の直轄組織となっており、適宜、同会議より気候関連リスクに係る報告を受けています。

    【CSR推進会議】
    議長 代表取締役社長
    メンバー 役付執行役員
    開催頻度 年4回および必要に応じて
    事務局 経営企画部サステナビリティ推進課
    (図表1)気候関連リスクのガバナンス体制
    気候関連リスクのガバナンス体制
  3. 戦略
  4. 当社では、気候関連に係るリスクおよび機会として検討すべき要因について、1.5℃シナリオ/2℃未満シナリオ(※2)および4℃シナリオ(※3)に基づき、想定される影響、対応策の検討を行っております。尚、影響に係る期間の定義は下記となります。

    分類 期間の目安
    短期 2~3年後
    中期 ~2030年度(※4)
    長期 2030年度~

    シナリオ分析においては、主に下記を参照しております。また、現状は定性分析に留まっておりますが、今後、事業インパクト評価等含めた定量分析も検討してまいります。

    シナリオ 参照シナリオ
    1.5℃シナリオ/2℃未満シナリオ IEA/ Net Zero Emissions by 2050 Scenario
    IPCC/RCP2.6
    4℃シナリオ IPCC/RCP8.5 等

    1)リスクと機会
     ①リスク

    リスク

     ②機会

    機会

    2)対応策

    対応策
  5. リスク管理
  6. 1)気候関連リスクの識別・評価プロセス

    気候関連リスクについては、経営企画部サステナビリティ推進課にて収集したデータと各部門からの報告を基に、リスク管理委員会にて識別・評価を実施、CSR推進会議にてその適切性を確認しています。また、その結果を取締役会へ報告しています。

    2)気候関連リスクの管理プロセス

    (図表2)リスク管理プロセス
    リスク管理プロセス

    3)企業全体のリスク管理への統合

    当社を取り巻く業務執行上のリスクに対する基本的な方針および管理体制は取締役会にて承認された「リスク管理規定」に定められています。リスク管理委員会は、各部支店・各グループ会社からの報告内容を評価し、全社リスク把握を行った上で、CSR推進会議へ報告しています。CSR推進会議は、気候関連リスクを含む統合したリスク管理活動状況を把握した上で、取締役会へ報告しています。取締役会は、CSR推進会議より定期的および必要に応じてリスク管理活動の報告を受けることにより、リスク管理基本方針に沿ってリスク管理活動が適正に実施されていることを確認・監督しています。

  7. 指標と目標
  8. 1)当社は、気候関連に係るリスクおよび機会を評価・管理する際の指標として、下記の通り中長期的なCO2排出量(※5)の削減目標を掲げます。

    ~2030年度 対2018年度比50%削減
    ~2050年度 実質排出量ゼロ

    2)今後、グループ全体でのスコープ1,2,3のCO2排出量の把握に努めていくとともに、グループ全体およびスコープ3含むCO2排出量の削減目標の検討を進めます。

    3)CO2排出量(t-CO2)(※6)

    スコープ1 スコープ2
    2018年度 8,022 9,535 17,557
    2019年度 7,777 8,592 16,369
    2020年度 5,633 8,873 14,506
    2021年度 5,796 9,528 15,324
    2022年度 5,405 9,290 14,695
    (図表3)CO2排出量の推移(単体)
    CO2排出量の推移(単体)
    (図表4)スコープ1,2の排出シェア(単体/直近年度)
    スコープ1,2の排出シェア(単体/直近年度)

    4)売上当たりのCO2排出量

    (図表5)売上1億円当たりのCO2排出量の推移(単体)
    売上1億円当たりのCO2排出量の推移(単体

※1 CSR基本方針:丸全昭和運輸グループは、物流が公益に深くかかわる事業であることを自覚し、豊かで持続可能な社会の実現のために、透明性と健全性の高い経営を通して、あらゆるステークホルダーに対し企業としての社会的責任を果たします。
※2 1.5℃シナリオ/2℃未満シナリオ:パリ協定で示された世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという目標に基づくもの
※3 4℃シナリオ:現時点を超える政策的な緩和策を取らない場合、世界の平均気温の上昇が今後100年で4℃上昇するというもの
※4 2030年度:政府の地球温暖化対策計画の削減目標設定年度
※5 CO2排出量:単体のスコープ1および2(スコープ2については、ロケーション基準での算定)
※6 CO2排出量(t-CO2):単体のみ

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