株主・投資家の皆様へ
平素は格別のご支援を賜りますよう有難く厚く御礼申しあげます。
ここに当社の第120期報告書をお届けするにあたり、一言ご挨拶を申しあげます。
はじめに、2022年6月29日開催の第120期定時株主総会後の取締役会におきまして、代表取締役会長に浅井俊之が、代表取締役社長に岡田廣次がそれぞれ新たに選定され、同日付をもちまして就任いたしましたことをご報告申しあげます。
つきましては、新体制のもと、力をあわせて社業の発展につとめ、株主の皆様のご期待にお応えいたす所存でございますので、何卒倍旧のご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

第7次中期経営計画の振り返り
2019年度を初年度とする第7次中期経営計画の最終年度が終了しました。2020年度は売上高のみ未達でしたが、その他の定量目標については達成いたしました。また、重点施策の1つである事業競争力の強化については、既存荷主からの新規案件の獲得等により、3PL事業の売上拡大に成功した一方、グローバル事業については、コロナ禍の影響もあり、海外売上の拡大に課題が残りました。
企業基盤の強化につきましては、新人事評価制度を中心に新たな人事制度の仕組みを導入しました。また、RPAの活用等により事務作業効率化は進んだものの、マテハン機器による機械化・自動化はコスト面等の課題があり、全社的な導入には至りませんでした。更には、ガバナンス体制の強化、モーダルシフトの推進をはじめたとした環境保護、社会貢献により、CSRを推進してまいりました。
「物流は、愛だ。」について
昨年、創立90周年を記念して新たなブランドスローガン「物流は、愛だ。」を作成しました。作成にあたり、当社を一言で表現するとどのような言葉になるのか考えました。「熱と努力」「変革」「愛貨精神」「お客様第一主義」「品質」など、我々丸全社員の中に脈々と受け継がれている言葉がありますが、これらのキーワードを基にして作り出されたのが「物流は、愛だ。」です。当社を表現するキーワードひとつひとつには、全て「愛をもって物流に向き合う姿勢」が込められており、当社が目指す「物流の変革」を起こすための原動力になる言葉として、「物流は、愛だ。」は、当社の姿勢を上手く表現していると考えています。
未来の丸全昭和運輸
当社を含め物流業界は、今大きな変革期を迎えています。この変化を乗り越え、成長していくために、長期ビジョンを新たに「テクノロジーと現場力で、お客様の未来を創造するロジスティクスパートナー」としました。これには、デジタルテクノロジーを用いて業務やビジネスモデルを変革する「デジタルトランスフォーメーション」の取り組みと、当社の強みとする現場力の融合により、お客様とともに新しい未来を創造していきたいという強い意志が込められています。また、当社グループのDX戦略を「MLDX(Maruzen Logistics Digital Transformation)」と命名し、本年1月より、現業部門・営業部門・管理部門が参加する全社横断的なプロジェクトを発足させ、活動を開始しました。「攻めのDX」と「基盤強化のDX」の2つの領域において、各種施策の具現化に取り組んでいます。
「攻めのDX」におきましては、顧客や物流パートナーをつなぐ物流デジタルプラットフォームの構築や、従来の3PLサービスで蓄積したノウハウを更に進化させ、物流の可視化と物流シミュレーションを強化したMALoS(Maruzen Advanced Logistics Solution)サービスを提供してまいります。
「基盤強化のDX」におきましては、基幹システムの再構築を実施し、統合データベースを中核としたデータビジネスに活用できる基盤を構築しつつ、AI・IoT・RPAなどのデジタル技術を活用し、業務の更なるデジタル化を推進してまいります。
また、SDGsへの取り組みとして、循環型社会に貢献するリバースロジスティクスの拡大やCO2排出削減に寄与するモーダルシフトの推進等を通じて、事業の持続的成長と社会のサステナビリティの両立を目指します。今後もたゆまぬ「熱と努力」と、当社のブランドスローガン「物流は、愛だ。」のもと、丸全グループ一丸となって社業発展に力を尽くしてまいります。
2022年6月
代表取締役会長 浅井 俊之
代表取締役社長 岡田 廣次
第8次中期経営計画
期間:2022年4月1日~2025年3月31日
1.はじめに
第7次中期経営計画の振り返り
- 定量目標については、売上、経常利益ともに目標達成の見込みです。
- 既存荷主からの新規案件の獲得等により、3PL事業の売上拡大につながりました。
- グローバル事業については、コロナ禍の影響もあり、海外売上の拡大に課題が残りました。
- 人事制度の改訂を進め、新評価制度を中心に新たな仕組みを導入しました。
2019年度 役職解任制度の改定 2020年度 新評価制度の導入 2021年度 等級制度の見直し等の推進 - RPAを活用した事務作業の効率化は進んだものの、マテハン機器による機械化・自動化はコスト面等の課題があり、全社的な導入までには至りませんでした。
・RPA導入による時間削減効果2019年度 111時間/月 2020年度 79時間/月 2021年度
(12月末)142時間/月 - ガバナンス体制の強化を進めるとともに、環境保護や社会貢献につながる取り組みを推進しました。
環境(E) モーダルシフト推進
環境保護の取り組み社会(S) 社会貢献の取り組み
(清掃活動、献血活動)ガバナンス(G) 執行役員制度の導入
監査等委員会設置会社への移行
指名・報酬諮問委員会の設置
2.長期ビジョン
目指す姿
テクノロジーと現場力で、お客様の未来を創造するロジスティクスパートナー
- お客様への貢献
- DXの取り組みを通じて、自社内の省力化を図ると共に、データを蓄積する仕組みを整備し、そのデータを利用した提案で、物流の効率化だけでなく、生産、販売の効率化、高付加価値化をグローバルに提供します
- 物流の共同化、標準化を進める中で、当社独自の現場対応でお客様に貢献します
- 社会への貢献
- 企業の稼ぐ力のサステナビリティと社会のサステナビリティの両立を目指します
- 株主、取引先、従業員、地域社会などステークホルダーの満足度を高めます
長期ビジョンのイメージ

長期ビジョンの基本戦略
- 成長領域への拡大(SDGsをビジネスに)
①カーボンニュートラルに貢献する物流の構築
②循環型社会に貢献する物流の構築
③再生可能エネルギー、新エネルギー分野への参画 - DXによるビジネスモデルの変革
①労働活用型⇒装置活用型⇒情報活用型への転換
②データを利用した当社独自のLLPの展開
③業界別プラットフォーム構築によるエコシステムの実現 - グローバル物流の拡大
①自社拠点の拡大
②海外物流企業とのアライアンスの強化
③グローバル管理体制の強化 - 経営基盤、事業基盤の変革
①コーポレートガバナンスの強化(気候変動リスクへの対応等)
②各社のパフォーマンスを最適化するグループ経営の実現
③教育、人事制度、組織変革による現場力の強化
④自社拠点の拡充
⑤収益構造の転換(情報活用型ビジネスへの転換、コア事業の内製化の推進)
3.第8次中期経営計画 重点施策
成長ターゲット
今後の成長が予想される業界・分野をターゲットとして、3PLサービスの更なる高度化や、物流プラットフォームによる新サービスの提供により事業拡大を図ります。環境の変化を捉え、当社の強みを活かしていく為に、設備投資やM&Aによる機能強化を実施していきます。
- 成長ターゲット1(成長産業)
成長産業と目される分野から、当社の強みを活かせる7業界をターゲットとし、営業の拡大を図ります。(ロボット・医療機器・半導体製造装置・半導体材料・蓄電池・電子部品・産業機械)
- 成長ターゲット2(既存顧客のシェア拡大)
大手既存顧客の中で、成長産業に関わる製品・部材などをターゲットとして、シェア拡大を図ります。
- 成長ターゲット3(差別化分野)
既に提供しているサービスの中で、特に差別化できているサービスを強化し、売上の拡大を図ります。(農産物関連物流サービス・危険物輸送網)
- 成長ターゲット4(新規事業)
SDGs等、社会的な要請が強く、今後の成長が期待される分野での事業展開を図ります。(新エネルギー・リバースロジスティクス)
事業競争力の強化(事業ポートフォリオ)
- 物流事業
①3PL事業の拡大と高度化
(ア)新規及び既存3PL事業の売上拡大
(イ)LLPサービス【MALoS】(※1)によるコンサルティングの拡大
②物流プラットフォームの確立
(ア)デジタルプラットフォームによる共同物流の拡大
(イ)物流パートナーとの関係強化
③ロジスティクス事業(※2)の拡大
(ア)ロジスティクス事業の売上拡大
(イ)持続的な物流サービスの提供
④グローバル物流事業の拡大
(ア)海外現地法人の事業拡大
(イ)海外ネットワークの活用による国内事業の拡大※1 MALoS(マロス):Maruzen Advanced Logistics Solution 「丸全版先進的物流ソリューション」を意味し、3PLを発展させた当社独自のLLPサービスの名称として設定する。
※2 当社の事業セグメント「物流事業」の内、3PL・MALoS・物流プラットフォームに該当しない業務を総称してロジスティクス事業とする。 - 構内作業及び機械荷役事業
①構内作業における機械化・省人化の推進
- その他事業
①機工関連業務(メンテナンス等)のサービス範囲の拡大
企業基盤の強化
- DXの推進
①次期基幹システムの構築
②物流プラットフォームの構築
③デジタイゼーションの推進 - 人材の確保と育成
①ダイバーシティの推進
②社員のスキル向上
③グループにおける人事制度の整備 - 設備投資の強化
①物流事業における環境対応の推進
②物流拠点の拡充 - M&Aの活用
①国内企業のM&A
- グループ組織体制の強化
①グループの戦略策定機能の強化(管理部門)
②管理力・現場力の強化につながるグループ再編
③リスクマネジメント体制の強化 - IRの強化
①各種情報開示の充実
- SDGsへの取り組み
①物流事業と連動した社会貢献の実施
②強靭な物流の実現
4.経営目標
2022年度
連結(単位:億円)
売上:1,440
経常利益:145
ROE:7.8%
個別(単位:億円)
売上:1,160
経常利益:120
2023年度
連結(単位:億円)
売上:1,540
経常利益:155
ROE:7.9%
個別(単位:億円)
売上:1,250
経常利益:130
2024年度
連結(単位:億円)
売上:1,650
経常利益:165
ROE:8.0%
個別(単位:億円)
売上:1,350
経常利益:140
5.投資計画(2022年度~2024年度)
設備投資:250億円
DX投資:100億円
M&A:100億円
6.資本政策
財務健全性の確保
成長投資とリスクの許容ができる範囲内で自己資本の水準を保持することを基本とし、自己資本の水準は連結ベースで50%以上とします。
配当性向
株主還元を重要政策と位置付け、配当については、会社の業績と配当性向、自己資本利益率などを総合的に勘案し、長期的に安定した配当を継続することを基本方針とします。配当性向は、5年間の連結ベース平均で20~30%程度を目途とします。
東京証券取引所への発表資料はこちら
丸全昭和運輸グループのDX(MLDX)
丸全昭和運輸グループは、「2030年度に向けた長期ビジョン」及び「2022年度~2024年度までの3年間の中期経営計画」を策定し、2022年3月28日に発表いたしました。
本ビジョン及び経営計画の中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)によるビジネスモデルの変革を重要テーマとしております。
今回、「丸全昭和運輸グループDX戦略」につきましても併せて策定いたしました。
詳細につきましては、「丸全昭和運輸グループのDX」をご参照ください。
丸全昭和運輸グループのDX(MLDX)(1,739KB)
お問い合わせ
本件に関するお問い合わせは、
下記へご相談ください。
丸全昭和運輸株式会社 DX推進室
E-mail:dx@maruzenshowa.co.jp
個人投資家の皆様へ
丸全昭和運輸について、その歴史や強みをご紹介いたします。
丸全の歴史
丸全昭和運輸は、重厚長大産業の貨物を"はしけ"を使って運ぶ港湾運送業者としてスタートしました。
創業者の中村全宏は、京浜工業地帯横浜第三地区の開発に伴い多くの企業の工場を誘致し、多くの大企業の工場を数々誘致し、港からあがる貨物を、工場にて製造、そして輸送といった一貫した輸送業務を開始し、併せて物流コンサルタントとしての役割も務めました。
その後、全国各地に自社倉庫、物流センター等のアセットを建設し、全国、世界へとつながる物流会社として躍進、成長してまいりました。
丸全の強み
丸全昭和運輸は、物流施設などの物流アセットを自社で提供できるアセット型3PL業者であることを強みとしております。
株主還元
当社では、株主の皆様に対する利益の還元を経営の重要政策のひとつとし、配当性向、ROEなどを総合的に勘案し、長期の安定配当を基本方針としております。
コーポレート・ガバナンス
コーポレートガバナンスの考え方
当社は激変する経営環境に対し迅速かつ的確に対応し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現できる体制を確立するため、株主をはじめとするステークホルダーに対し経営の透明性をより高めるとともに、経営理念にも掲げております社会規範の遵守を励行し、コーポレート・ガバナンスの強化と充実に取り組むことが重要な経営課題であると位置づけております。
ガバナンス体制

当社のコーポレート・ガバナンスの概要は、コーポレートガバナンス報告書に記載の通りでございます。